先日、私のHPを見た奥様から、
旦那様の写真を取ってほしいと依頼を受けました。
スタジオで仰々しい写真ではなく、
いつもの自然な旦那様のお写真を残したいとのご希望でした。
ご自宅の最寄り駅まで、お車でお迎えに来てくださった奥様。
初めて会う私にもすぐに気づいてくださり、
車の中から、手を降ってくださり、
わたしもなんだかホッとしました。
そして、ご自宅に向かう道中で、
「実は主人はガンで、抗がん剤治療をすることになり、
髪の毛のある写真を撮っておきたくて、依頼しました。」
と、胸の内を話されました。
ご本人は全くピンピン元気なのですが。。と。
ご自宅につくと、
旦那様が玄関のドアを開けてくださり、
お客さんを招くように優しく受け入れてくださいました。
とても優しい笑顔と穏やかな雰囲気で
とてもご病気には見えませんでした。
私は、ご自宅の中で、窓際で撮影場所をさがします。
撮影場所としては、
和室の窓際の壁とリビングの窓際の壁を
利用することにしました。
ご主人様と一緒に不要なコンセントやテレビを少し移動。
次に、どんな服がいいかな、、、と。
メールでアドバイスさせていただいていたのは、
色が白に近い服をおすすめしていたので、
薄いグレーや水色のシャツを3枚ぐらい用意されておりました。
その中から、グレーのものをチョイス。
早速撮影開始です。
もちろん、最初はご主人様、、、緊張されています。
奥様も
「固いわよ。。」と。
実は人の顔は左右対称ではないので、
左右両方から撮影して、
ご本人に見ていただいて、
ご本人がしっくりする方で撮影を進めております。
はじめは緊張されているので、
目線を外してもらったり、
奥様とお話してもらっている最中に
シャッターを切ったりw
しばらく撮影して、お写真を確認してもう。
「目が小さいな。。」と、
いつもの見た目と違うなとポツリと本音が。
そうなんです、、
いつもは、鏡でご自分の顔をみることが多いので、
実は、鏡をみるときは、
無意識に覗き込むようになるので、
目が開いているのです。
また、鏡は反対に写っているので、
いつも自分が認識している顔は、
周りの皆さんがみている顔とは反対。
そんなことを説明して、
再度、撮影に。
ご主人様もちょっと意識を変えて、
カメラを覗き込むようにして、
目が大きくなるようにされていましたw
何回か写真を確認いただき、
「これなんかいいんじゃない〜!」
となり、撮影は終了。
カメラ機材を片付けていると、
「お茶でもどーぞ。」
と、お茶を準備してくださって。
お言葉に甘えて。
紅茶をいただきました。
旦那様がお茶を飲む仕草や雰囲気が素敵で、
「このシーンも撮影したいです。」
と、言うと、、、
奥様も
「こういう自然なのがあなたらしくていいわよ。」と。
そして、再度、撮影を開始w
何枚か写真を確認していただき、
ほしい写真を確認し、撮影終了となりました。
お二人の穏やかな優しい雰囲気の中での撮影。
奥様が本当にほしいのは
「いつもの優しさと爽やかさとを兼ね合わせた旦那様のお姿の写真」
だということが、ひしひしと伝わってきた現場でした。
仰々しい写真よりも、
いつもの雰囲気をまとった
いつもの素敵なあなたの写真がほしいのよ!
というお気持ち、
本当にわかります!
長年連れ添った愛おしい人の写真だからこそ、
日常の中の幸せをまとった姿を残したいと思うもの。
「愛」なんだな〜と。
それしかないんだなと。
わたしもそれを形に叶えることができて、
お手伝いすることができて、
本当に嬉しかった。
いろんなお仕事があるけれど、
やっぱり、こういうお志事ができるのは、
カメラマン冥利に尽きるなと。
遺影写真を撮るようになって、
意外にも難病やガンの方からの依頼が多くて、
最初は、正直、ショックでした。
(私の中では、終活されてる方からご依頼が来るものだと
想定していたので。)
そして、
依頼者様の前向きに時間を大事に、
自分、また、周りの人も大事にされて、
生きている姿に直接触れる機会をいただいております。
私が無理なく、
そのままでいて、
人が喜んでくれることになる。
徒然ってしまいましたが、
そんな素敵なことが
遺影撮影現場で起こっております。
遺影写真を撮ると
長寿祈願にもなるというので、
「ガンが完治しますように!」
と、願いつつ。
また、この長寿祈願が効いてくれるのではないかと。
長寿祈願と病気を治すカメラマンになったりしてと思っています!